Legacyレガシー
その経済効果はもちろん、人と人との出会いによりもたらされる新たなビジネス機会やイノベーションの創出など、MICE [?]が開催地にもたらす好影響(レガシー)は、今、世界中で注目を集めています。神戸市は、全国2位の国際会議開催件数を誇り、これまでに「第2回国連防災世界会議」「G7神戸保健大臣会合」「G8環境大臣会合」などの大型国際会議の誘致に成功。これらMICEによるレガシーは、神戸の街や暮らしの発展にも大きく寄与しています。
G8環境大臣会合開催により環境先進都市へ
G8環境大臣会合(2008年)の開催地となった神戸。G8閣僚と各国の環境大臣、国際機関が集まり、世界の環境問題について意見が交わされました。この成果として、神戸市では2011年に「神戸市環境基本計画」を策定。「低炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の3つの都市像を掲げ、さまざまな施策を推進してきました。現在では、エネルギーの脱炭素化を図り、SDGsの達成に向け取り組んでいます。
● 開催によって生まれた施策・事業
地球環境保全とクリーンな街の実現
G8閣僚が「神戸3R行動計画」に合意。3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進する、国際的な行動指針を広めるきっかけとなりました。神戸市では、マイバッグの利用によるレジ袋の削減、マイボトルの利用促進など、プラスチックごみの削減を推進。また、市民・事業者・行政の協働による「食品ロス削減に向けたアクションメニュー」、食品ロスダイアリーの推進、フードドライブの普及・啓発など、食品ロス削減のための運動が広がっています。
低炭素社会への取り組みでエネルギー先進都市に
神戸市は低炭素社会の実現に向け先駆的な取り組みにチャレンジする都市として、2013年に国の「環境モデル都市」に選定されました。その後、「水素スマートシティ神戸構想」を立案し、水素だけを使った発電による市街地での熱電供給実験に世界ではじめて成功。現在では、日本で唯一WECP ※に加盟するエネルギー先進都市として、水素エネルギーの利活用拡大への取り組みを進めています。
- ※World Energy Cities Partnership:世界の都市間で、エネルギー業界のサービスやノウハウを共有し、メンバー都市間の交流連携事業を行う。原則1国1都市が加盟
市民福祉を向上させたG7神戸保健大臣会合
2016年には、G7神戸保健大臣会合を開催。G7およびEUの保健担当大臣、関係機関が一堂に会し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ※の達成、また、少子高齢化社会での生涯を通じた健康推進などについて議論されました。この会合を受けて、神戸市は、それまで取り組んできた高齢者のための福祉施策の推進や感染症対策の強化をはかり、市民福祉のさらなる向上に力を入れています。
- ※すべての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態
● 開催によって生まれた施策・事業
認知症「神戸モデル」の実施
神戸市は、G7保健大臣会合で採択された「神戸宣言」を踏まえ、2018年に「神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例」を制定。その一環として、全国初の取り組みである認知症「神戸モデル」を開始。早期受診を促進するための「診断助成制度」と、認知症の方の事故を未然に防ぎ、もしもの際に救済するための「事故救済制度」を、2019年より本格実施。65歳以上のすべての市民がこの制度を無料で受けられる環境を整えています。
感染症を早期探知する地域連携の強化
神戸市では「神戸宣言」の実施事業として、感染症に対する管理体制の強化にも取り組みました。2009年の新型インフルエンザ発生後に開始した、感染症の早期発見や情報共有のための体制「感染症早期探知地域連携システム(神戸モデル)」を見直し、2015年に再構築。ITを活用することで管理体制を強化し、地域連携による感染症の早期発見、公衆衛生の向上を推進しています。
震災復興の経験が防災の国際指針に
1995年に発生した阪神・淡路大震災を機に、都市機能の回復だけでなく、より住みよいまちづくりを目指す「復興」の取り組みを世界に広めた神戸。2005年に神戸で開催された「第2回国連防災世界会議」では、防災・減災に関する包括的な行動指針である「兵庫行動枠組2005-2015:災害に強い国・コミュニティの構築」※が採択されました。また、その取り組みを世界で実施・促進する拠点のひとつとして、2007年には国連防災機関・UNDRRの駐日事務所が神戸に開設。神戸の「復興」の経験と防災活動は、災害が起こった際の国際的な行動指針となり、世界の防災に貢献しています。
- ※現在は「仙台防災枠組2015-2030」が継承